高澤鱚介

長野県の農村部では早くから「地域生活改善運動」が行われ、一口に言えば無駄を無くす運動が広く行われていることは知っていた。これを前提に感じながらの経験であった。 通夜。他人は呼ばず、ごく限られた身内だけで行う。そして翌日、身内と葬儀委員長他数人だけが斎場に行って荼毘を行ない、その遺骨を告別式の祭壇に安置する。 告別式。親類と近親者が席に着き始まるのだが、告知された通告時間の30分前から始まる。導師様は居ない。無言の中、参列者が順に、喪主と親類縁者に一人づつ丁寧に挨拶し焼香を済ませていく。一般参列者の多くは、これを済ませ、さっさとお帰りになってしまう。やがて導師様が入場。読経があり、最後の方に喪主から親類等の焼香が行われる。 宴席。「灰寄せ」と言う行事で、「杯を寄せる」と言う意味も持つ。事前に申し込んだものだけが参加できる。宴席には沢山の手土産が用意されており、夫婦であろうと子供であろうと一人づつに配られた。出された料理の残り(意識的に箸を付けない)を、用意された風呂敷に自ら包んで持ち帰る。 一般参列者からの香典(不祝儀)は一律1千円。